農家の確定申告 スマホの購入代金や毎月の携帯代は経費になる?

近年は農業用のアプリやソフトなども多く開発され、スマートフォンを農業で活用している人も多くいるのではないでしょうか。ではスマートフォンの購入代金や毎月の携帯代は経費として認められるのでしょうか。ここではスマホの確定申告の処理方法について説明します。
スマホにかかる費用は経費になる?
スマートフォンの購入代金や毎月の携帯電話代の料金も、業務で使用していれば経費に計上することができます。
スマホを事業(農業)でしか使っていないのであれば、全額経費として計上できます。しかしプライベート用と農業用で2台持っており使い分けているという人以外は、兼用で使っている人が多いのではないでしょうか。
業務と私用で兼用で使っている場合は、家事按分をする必要があります。家事按分とは、事業でつかっている経費とプライベートで使用しているお金(家事)を按分して事業用の経費だけを計上することを指します。
関連記事:農家の確定申告 家事按分について
白色申告 スマホの購入代金の確定申告の処理方法
スマートフォンの本体価格は、5万円程度のものから最近では20万円を超えるものもあります。スマートフォンの購入代金の確定申告の処理は、スマホ本体の購入代金によって変わるので、順に説明していきましょう。
スマホの購入代金が10万円未満の場合
スマートフォンの購入代金が1円~99,999円までの場合。この代金はすべて購入した年の経費とすることができます。一般的には消耗品などの科目を使いますが、農業所得用の経費の項目には消耗品はないので、別途作るか「雑費」で処理しましょう。
例1)2月5日に農業用のスマートフォンを70,000円で購入した。これは農業用以外には使わない。
収支内訳書の経費科目「雑費」に全額70,000円計上します。
例2)2月5日に農業用のスマートフォンを70,000円で購入した。スマートフォンはプライベートと兼用でつかっており、その比率はプライベートが60%、農業用として40%使っている。
農業用に使う40%のみが経費となるため家事按分が必要です。70,000×40%=24,000のみが経費として認められます。
そのため収支内訳書の経費科目「雑費」に24,000円計上します。
スマホの購入代金が10万円以上20万円未満の場合
スマートフォンの購入代金が10万円以上の場合は、全額を購入した年の経費とすることはできず、減価償却資産として処理します。減価償却資産は、法定で決められた耐用年数に基づいて、月割り計算して減価償却費を求めます。ただし、簡易的な方法として20万円以下であれば取得価額の合計額の3分の1の金額を必要経費として計上することができます(一括償却資産)
関連記事:農業確定申告 一括償却資産とは?
一括償却資産として処理する場合には、収支内訳書の2ページ目の減価償却費の計算の部分にスマートフォンの購入代金を入力して、減価償却費を求めます。この計算された減価償却費が今年の経費として認められます。
例)10月20日にスマートフォンを120,000円で購入した場合
農業用専用の場合は、120,000円÷3=40,000円が減価償却費として経費として認められます。

プライベート兼用で農業用が40%、プライベートが60%の場合
減価償却費の計算の㋠事業専用割合に40と記載し、40,000円×40%=16,000円を㋷本年度の必要経費算入額に記入、減価償却費として経費として認められます。

10万円以上のスマホの場合、一括償却資産として確定申告するのは任意で選ぶことができます。一括償却資産として償却しない場合には、下記の20万円を超える場合の減価償却費の計算方法で計算して、その金額を減価償却費と計上することもできます。
スマホの購入代金が20万円をこえる場合
iPhoneや折りたたみのスマホで有名なgalaxyなどの機種では、20万円を超える機種も発売されています。パソコンの変わりにスマホを使う人も増えており、高スペックのスマホを購入し、20万円を超えた場合には軽トラなどと同様に減価償却資産として計算した、減価償却費が経費として認められます。
法定耐用年数は、国税庁の一覧にはスマートフォンの記載はありません。一般的にはスマートフォンは通信機器として、パソコンと同様に「電子計算機 パーソナルコンピュータ」として4年償却として計算することが多いようです。アプリやネットなどを使わず電話として使う場合は、「電話設備その他の通信機器」として10年で償却する場合もあります。
例)7月1日にスマートフォンを220,000円で購入した。耐用年数は4年とする場合
取得価格 220,000 耐用年数は4年(定額法償却率0.250)7月から償却開始のため償却月数は6ヵ月で計算します。
取得価格220,000円×償却率0.250÷6/12ヵ月=減価償却費27,500円

プライベート兼用で農業用が70%、プライベートが30%の場合
減価償却費の計算の㋠事業専用割合に70と記載し、27,500円×70%=19,250円を㋷本年度の必要経費算入額に記入し、この金額が減価償却費として経費として認められます。

青色申告 スマホの購入代金の確定申告の処理方法
白色申告と同様に処理することもできますが、青色申告では、減価償却資産の償却方法に「少額減価償却資産の特例」が使えるため、購入金額が30万円未満であれば購入した年にすべて経費とすることもできます。
スマホの購入代金が10万円未満の場合
スマートフォンの購入代金が1円~99,999円までの場合。この代金はすべて購入した年の経費とすることができます。一般的には消耗品などの科目を使いますが、農業所得用の経費の項目には消耗品はないので、別途作るか「雑費」で処理しましょう。
例)2月5日に農業用のスマートフォンを70,000円で購入した。これは農業用以外には使わない。
借方 | 貸方 |
|---|---|
雑費(消耗品) 70,000 | 現預金 70,000 |
例)2月5日に農業用のスマートフォンを70,000円で購入した。スマートフォンはプライベートと兼用でつかっており、その比率はプライベートが60%、農業用として40%使っている。
借方 | 貸方 |
|---|---|
雑費(消耗品) 28,000 事業主貸 42,000 | 現預金 70,000 |
スマホの購入代金が10万円以上の場合
スマートフォンの購入代金が10万円を超える場合には、原則、減価償却資産となり全額を購入した年の経費にすることはできません。しかし30万円未満であれば「少額減価償却資産の特例」を使い、全額経費とすることもできます。また20万円未満であれば、一般的な減価償却方法を使わず、一括償却資産として簡易的に取得価額の合計額の3分の1の金額を必要経費として計上することができます
取得価格 | 処理 |
|---|---|
1円~99,999円 | 全額経費計上 |
100,000~199,999円 | 下記のいづれか選択 ・全額経費計上(少額減価償却資産の特例) |
200,000~299,999 | 下記のどちらかを選択 ・全額経費計上(少額減価償却資産の特例) |
300,000円以上 | ・耐用年数による減価償却費 |
少額減価償却資産の特例について
少額減価償却資産の特例とは、通常取得価格10万円以上の資産は減価償却資産となり一度に経費に落とすことはできませんが、取得価格30万円未満までの減価償却資産を一括で取得した年の経費に計上できる税務の特例です。青色申告を提出する個人事業主・中小企業者が使えます。
例)3月10日にスマートフォン210,000円を購入した。
購入時は、一旦減価償却資産として計上します。
借方 | 貸方 |
|---|---|
農機具等 210,000 | 現預金 210,000 |
決算処理として12月末に減価償却費として全額費用に振替ます。
借方 | 貸方 |
|---|---|
減価償却費 210,000 | 農機具等 210,000 |
プライベート用と農業用とで兼用している場合(例 農業用70% プライベート30%の場合)
購入時の仕訳は変わらず、減価償却費の仕訳は下記のとおりとなります
借方 | 貸方 |
|---|---|
減価償却費 147,000 | 農機具等 210,000 |
一括償却資産の処理
一括償却資産とは10万円以上20万円未満の減価償却資産は、その資産の耐用年数に関わらず3年で均等に減価償却できる制度です。減価償却の簡易的な方法で、月割りの必要もありません。
例)10月20日にスマートフォンを120,000円で購入した。
購入時には資産として計上します。
借方 | 貸方 |
|---|---|
農機具等 120,000 | 現預金 120,000 |
決算処理として12月末に減価償却費を計上します。
借方 | 貸方 |
|---|---|
減価償却費 40,000 | 農機具等(一括償却資産) 40,000 |
プライベート用と農業用とで兼用している場合(例 農業用40% プライベート60%の場合)
購入時の仕訳は変わらず、減価償却費の仕訳は下記のとおりとなります
借方 | 貸方 |
|---|---|
減価償却費 16,000 | 農機具等(一括償却資産) 40,000 |
少額減価償却資産の特例は処理が簡単ですが、デメリットもありあます。下記で詳しく説明していますので迷った場合にはこちらも参考にしてください。
関連記事:農業確定申告 少額減価償却資産の特例とは?一括償却資産と違い
特例等は使わず、通常の減価償却資産として法定耐用年数を使う場合
購入価格が10万円以上であれば、通常の耐用年数をつかって確定申告することも、もちろん可能です。
法定耐用年数ですが、国税庁の一覧にはスマートフォンの記載はありません。一般的にはスマートフォンは通信機器として、パソコンと同様に「電子計算機 パーソナルコンピュータ」として4年償却として計算することが多いようです。アプリやネットなどを使わず電話として使う場合は、「電話設備その他の通信機器」として10年で償却する場合もあります。
例)3月10に210,000円でスマートフォンを購入した。少額減価償却資産の特例は使わない
購入時の仕訳
借方 | 貸方 |
|---|---|
農機具等 210,000 | 現預金 210,000 |
決算処理として12月末に減価償却費を計上します。(法定対象年数4年で計算した場合)
(計算式)取得価格210,000×定額法償却率0.250÷10/12(月割)=減価償却費43,750円
借方 | 貸方 |
|---|---|
減価償却費 43,750 | 農機具等 43,750 |
プライベートと兼用の場合(農業用60%、プライベート40%の場合)
(計算式) 減価償却費43,750×60%=26,250円
借方 | 貸方 |
|---|---|
減価償却費 26,250 | 農機具等 43,750 |
月額の携帯料金の確定申告の処理
事業でスマホを使っているなら、もちろん月額の使用料金も経費として計上することができます。農業用のみで使っている場合は全額経費として計上するので特別難しいことはありません。しかしプライベートと兼用で使っている場合は、購入代金と同様に家事按分が必要です。
電話代などは、明細から事業でつかったものかプライベートで使ったものかわかるものもありますが、今はパック料金などになっているため区分するのが難しい場合は、使用時間等で区分するとよいでしょう。
家事按分は、明確な根拠が必要です。だいたい8割ぐらいが農業だな…といったどんぶり勘定で今月は8割を経費にするなどとしてしまうと、もし調査が入った時には明確な根拠がないとして、経費として認められないこともあります。携帯料金の明細書と一緒に、その根拠となる時間や日数などを記載して保存しておきましょう。
収支内訳書には通信費の項目がないので、経費の区分に通信費を作るか、雑費に計上します。家事按分がある場合は事業に使った分だけ雑費に計上しましょう。
青色申告の仕訳
例)携帯電話料金が5,000円だった場合
借方 | 貸方 |
|---|---|
雑費(通信費) 5,000 | 現預金 5,000 |
家事按分する場合(農業用60%、プライベート40%)
借方 | 貸方 |
|---|---|
雑費(通信費) 3,000 事業主貸 2,000 | 現預金 5,000 |
農業所得用の確定申告ソフトを活用しましょう
減価償却費の計算や家事按分などの処理は、自分で計算するより農業用の確定申告用のアプリなどを使うと簡単に計算できます。
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面倒な減価償却費の計算や一括償却資産などは、選ぶだけで自動で計算し収支内訳書に表示します。家事按分も、経費を入力するときに按分の%を入力するだけで、自動で計算してくれます。
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